それって前立腺肥大症かも?

それって
前立腺肥大症かも?

イメージ:正常な前立腺と尿道

前立腺について

前立腺肥大症を理解するために、前立腺についての基礎知識を持ちましょう。 膀胱の出口で尿道を取り囲んでいるのが前立腺です。前立腺を体の横から見ると、恥骨と直腸の間に位置しています。クルミのような形と大きさをしており、一般的な成人男性の前立腺の体積は通常20cc以下といわれています。  

前立腺の役割は?

前立腺は男性のみにある臓器の一つです。その役割の全容については、まだ解明されていないところもありますが、生殖と排尿にかかわる、大きく2つのことがわかっています。

  • 精子に栄養を与え、精子を保護する「前立腺液」といわれる精液の一部を作ります。「前立腺液」は、隣接する精嚢で作られる「精嚢液」と精巣で作られる「精子」などと混ざって「精液」になります。
  • 前立腺にある筋肉の働きで、射精時に精液を尿道内に押し出す一方、精液が膀胱側にいくことがないよう膀胱側の尿道を狭くします。 
イメージ:肥大した前立腺と尿道

前立腺肥大症の原因は?

前立腺肥大症は肥大した前立腺が尿道を圧迫することにより、頻尿や残尿など、尿にかかわるさまざまな症状を引き起こします。

前立腺が肥大する原因は完全にはわかっていませんが、加齢とともに男性ホルモンが減ってくることなど、性ホルモン環境の変化が関与するといわれています。 

前立腺肥大症を発症する明らかな危険因子は加齢です。他にも遺伝的要因、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などが考えられています。 喫煙、飲酒、性生活や性感染症との関係は明らかになっていません。

野菜・穀物・大豆などに多く含まれるイソフラボノイドは、発症を抑制する効果があると言われています。 

前立腺の病気で
もっとも多いのが前立腺肥大症

前立腺の肥大自体は、60歳までの男性では約50%*1、60歳以上で約70%*2、85歳まででは約90%*1に前立腺肥大がみられる、といわれています。

そのすべての人に治療が必要な症状があるわけではありませんが、前立腺肥大症は前立腺の疾患の中でもっとも多くみられる病気です。表に示したように、前立腺肥大症の患者数(医療機関を受診した患者数)は増加傾向にあるといえます。

 

出典 : 厚生労働省 平成29年患者調査

*1 Barry M, Roehrborn C. Management of benign prostatic hyperplasia. Ann Rev Med. 1997 Feb;48:77-189. 
*2 Berry SJ, Coffey DS, Walsh PC, et al. The development of human benign prostatic hyperplasia with age. J Urol. 1984 Sep;132(3):474-9 

前立腺肥大症の人の割合は?

症状や所見の定義にもよりますが、指標となる3つの検査結果、

  1. 国際前立腺症状スコア(IPSS)7点以上
    ※「検査・診断方法は?」で詳しく説明
  2. 前立腺の体積20cc以上
  3. 最大尿流量10ml/秒以下

のすべての条件を満たす人は、日本においては60歳代で6%、70歳代で12%と言われています。 

 

主な症状は?

前立腺肥大症の主な症状と
それに伴う合併症についてご説明します。